カーポートや車庫の建ぺい率は?緩和条件や計算方法

家を建てる際にカーポートや車庫の設置を検討する人もいるでしょう。

しかし、家づくりで外せないのは建ぺい率に関する問題です。

カーポートや車庫は、その種類によって建ぺい率に含まれる場合があります。そこで今回は、カーポートや車庫の建ぺい率や計算方法、緩和される条件、注意点などについて解説します。

カーポートは建ぺい率に影響あり!車庫がある場合も

カーポートは、条件によって建ぺい率の緩和対象となることがあります。

建ぺい率は建物の密集を避けるために設けられたものです。建ぺい率を無視してカーポートを設置すれば建築基準法に違反することになり、最悪の場合刑事罰に処せられることもあります。

また建物の建築には用途地域ごとに設定された建ぺい率を守らなくてはなりませんが、カーポートも例外ではありません。同じ敷地に建物とカーポートが存在する以上、建物とカーポートの建ぺい率は比例するからです。

もしもカーポートの建ぺい率が緩和されれば、ゆとりを持ったサイズのカーポートを設置することができ、入出庫や乗り降りが楽になります。

カーポートを設置する場合は、敷地の広さや建物の大きさを加味したうえで建ぺい率の上限を計算する必要があるでしょう。

建ぺい率とは?計算方法や上限とは

引用元:panasonic homes

カーポートを設置するうえで無視できない建ぺい率について、その概要や目的、計算方法、上限について解説します。

建ぺい率とは?

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合について定めたもので、敷地の何%を建物に使用できるか数値で示したものです。建築面積は真上から見た面積(水平投影面積)のことを指しており、建ぺい率が高い地域ほど大きな建物が建てられる計算となります。

建ぺい率がなければ密集した街並みになり、日当たりや風通しにも影響します。建ぺい率を守らずに建築確認申請をしても通らないので、建物を建てることはできません。

建ぺい率の計算方法

建ぺい率は以下の計算式で算出することができます。

「建ぺい率(%)=(建築面積÷敷地面積)×100」

たとえば建ぺい率が80%に設定された敷地の場合、100㎡の敷地に建てられるのは建築面積80㎡までの建物になります。

建ぺい率の上限はある?

建ぺい率の上限は30〜80%、用途地域との組み合わせによって定められます。建ぺい率の制限は不動産会社やハウスメーカーではなく行政によって決められているため、家を建てる敷地がどの用途地域に指定されているかを事前に確認しておく必要があります。

ちなみに用途地域や建ぺい率を知りたければ、市区町村の都市計画課や自治体のホームページで確認することが可能です。

カーポートの建ぺい率が緩和されることがある!条件は?

カーポートの建ぺい率は、次の条件で緩和されることがあります。

  • 外壁のない部分が連続して4m以上
  • 柱の間隔が2m以上
  • 天井の高さが2.1m以上
  • 地階を除く階数が1で

これは、カーポートが建築基準法で示す「開放性を有する建築物」としてみなされるかどうかが大きなポイントです。

まず外壁について、カーポートの側面が完全に開放されている場合や、片側だけに壁がある程度(外壁のない部分が連続して4m以上)であれば、建ぺい率の計算に含まれることはありません。

カーポートの構造は基本的に屋根と柱であることから、大体の場合この条件をクリアすることができるでしょう。しかしオプションとして外壁とみなされるレベルの大きなサイドパネルが設置されている場合は、条件から外れる可能性もあります。

そして柱の間隔が狭く密になっていると、条件緩和の第一条件である“開放性を有する建築物”とは言えなくなります。とはいえカーポートは柱の数が多くないものがほとんどなので、条件をクリアすることはできるでしょう。

またカーポートは車を入庫することを目的に設置するものであり、高さ2.1m以上のものがほとんどです。とはいえ、たった1cmでも基準より下回っていれば対象外となるので注意しましょう。

「地階を除く階数が1である」というのは、言い換えれば一階建てであるということが条件です。そもそもカーポートは車を敷地面にそのまま設置するものであり、機械式駐車場でもない限り大部分の一般住宅はこの条件をクリアすることができます。

以上の条件から「平屋かつ柱間隔が2m以上で高さが確保されたカーポート」の場合、建ぺい率の緩和措置が適用されることになるでしょう。

カーポートや車庫の建ぺい率の計算方法シミュレーション

建ぺい率の計算方法は本記事の「建ぺい率の計算方法」で紹介していますが、この計算方法でカーポートの建ぺい率をシミュレーションしてみましょう。

たとえば敷地面積300㎡かつ建ぺい率が60%設定されている場所に家を建て、カーポートを設置するとしましょう。この敷地に建てられる家の面積は「300㎡×60%」なので180㎡となります。

180㎡のうち150㎡を家に使った場合、カーポートに使える面積は30㎡です。

間口6m・奥行き6mのカーポートを設置する場合は、通常6m×6mで36㎡になるため設置が不可能です。でも、緩和条件である「開放性を有する建築物」の条件を満たせば、一部を面積から除外することが可能です。

この場合「(6m-1m-1m)×(6m-1m-1m)」の計算で16㎡を除外することができるため「36㎡-16㎡=20㎡」がカーポート設置の面積となります。

カーポートの建ぺい率に違反したらどうなる?

カーポートの設置で規定の建ぺい率を超えると、建築基準法の違反による行政処分や刑事罰が科せられる場合があるほか、将来売却する際に困る場合があります。

建ぺい率をオーバーして建築基準法に違反すると「違反建築物」となるため、法に基づき行政から除却などの指導・指示を受ける可能性があります。それでも行政からの指導・指示に従わない場合、強制力のある行政処分を受ける可能性もあるでしょう。さらに従わない状態が続けば、刑事罰が科せられるケースもあります。

また違反建築物は、売却時において不利になります。まず不動産を売却する際、重要事項説明書の瑕疵(契約を結ぶかどうかに影響しうるもの)として違反建築物である旨を記載しなくてはなりません。さらに、検査済証が発行されていない違法建築物は住宅ローンが組めなくなるため、現金取引以外での売却ができなくなります

つまり、将来的に売却したくても買い手が見つからない状態に陥る可能性が高くなるのです。

建ぺい率に影響あり!カーポートや車庫を建設する際に気を付けること

実際にカーポートを設置する場合は、建ぺい率だけではなく広さや大きさ、設置する場所にも気をつけなくてはなりません。ここで、カーポートや車庫を設置する際の注意点を項目別に解説します。

カーポートの広さや大きさ

カーポートを選ぶ際は、駐車したい車の台数・サイズ、敷地面積を加味した大きさが必要です。もしも将来的に大きな車に乗り換えたり、所有台数が増えたりする予定があれば大きめのカーポートを選ぶ必要があるでしょう。

また、車体サイズだけでカーポートの大きさを決めるのではなく、ドアの開け閉めや乗り降りするためのスペースも加味しなくてはなりません。車体の横幅ギリギリでカーポートを選んでしまうのは乗り降りが困難になるので、余裕を持ったサイズを選びましょう。

カーポートを設置する場所

カーポートを設置する際は、周囲への接触を避け、掃除しやすい場所に設置するのがポイントです。たとえば周辺の樹木がある場合、成長によってはカーポートに接触するおそれもあります。カーポートによって屋根や柱が傷つく可能性があるほか、木の葉がカーポートの屋根に溜まって掃除が大変になることもあるでしょう。

もしもカーポートを設置したい場所に成長する樹木がある場合は、設置前に伐採することをおすすめします。

近隣住民への配慮

カーポートの設置方法によっては、近隣トラブルを誘発する可能性があります。たとえば屋根が隣の敷地に向かって下がっているカーポートなら、多少距離があっても隣家の敷地に雨やゴミ、雪が入り込んでしまうこともあるでしょう。

トラブルを防ぐためにも、カーポートを設置する際は屋根の傾きに注意して隣家に配慮し、隣家の人に一言挨拶しておくことをおすすめします。

カーポートや車庫の建ぺい率に関するQ&A

最後に、カーポートや車庫の建ぺい率に関するよくある疑問についてまとめました。

車庫(ガレージ)は建ぺい率の緩和対象に入る?

屋根と3方向以上の壁で覆われている車庫(ガレージ)も「カーポートの建ぺい率が緩和されることがある!条件は?」で紹介している条件をクリアすることで建ぺい率の緩和対象となります。

とはいえ、1つ目の条件である「外壁のない部分が4m以上連続していること」に関しては、外壁に囲まれている車庫だと緩和措置の対象外となるので注意が必要です。建ぺい率の緩和措置を受けたいなら、車庫よりもカーポートの設置が良いでしょう。

カーポートをDIYで建てるのは違反?

カーポートのDIY自体は違法ではありませんが、建築基準法に違反しないようにしなければなりません。着工前には行政機関や民間の指定確認検査機関の審査を受けることになります。

大掛かりなDIYほど違反建築物になりやすいです。また、審査や確認申請を行わないと行政指導の対象となり売却時に不利になるため注意しましょう。

カーポートは増築扱いになる?

屋根や柱のあるカーポートは建築物として取り扱われるため、家の敷地内に設置する際は増築として扱われ、建築確認申請が必要になる場合があります。

また建築確認申請が不要な場合でも、建築基準法など法令に定める基準に適合させなくてはなりません。建ぺい率はもちろん、防火地域の指定や地域ごとの制限についても事前に確認しておきましょう。

建ぺい率に気を付けてカーポートや車庫を設置しよう

カーポートや車庫も、屋根と柱がある以上建ぺい率に含まれるため、建ぺい率をオーバーしないように設置する必要があります。一方、カーポートは特定の条件をクリアすることで建ぺい率の緩和措置を受けることができます。ゆとりのある広さを求めるなら、条件に合わせて設計・設置しましょう。

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