住宅ローンを払えない人が急増!諸費用や売るなどの対処法を解説

この不況のなか、住宅ローンを払えない人が増えています。

もしも住宅ローンを払えないままだと、住んでいる家や残りの住宅ローンはどうなるのでしょうか?

本記事では、住宅ローンが払えない人の割合や払えない場合の流れ、払えないときの対処法などについてくわしく解説します。

住宅ローンが払えない人が急増!その理由は?

住宅ローンが払えない人の割合を「リスク管理債権」で示すと、100人に約3人の割合で住宅ローンが払えない状況であると言えます。

そして、住宅ローンが払えない人が増えている大きな要因として挙げられるのは、新型コロナウイルス感染症による経済状況の変化です。

住宅ローンを払えない人の割合

2023年に住宅金融支援機構が公表したリスク管理債権は「3.05%」です。これはフラット35を提供する住宅金融支援機構によると、100人に3人が住宅ローンを払えない状況にあると見て良いでしょう。

リスク管理債権は、滞納や破産などにより回収ができなくなった債権のことです。

住宅金融支援機構が貸し付けた住宅ローンの返済が滞る、返済方法を変更するなどの件数が増えると、このリスク管理債権の数値が高くなります。

住宅ローンを払えない人が急増している理由

住宅ローンを払えない人が急増している理由として一番に考えられるのが、新型コロナウイルス感染症の影響です。

住宅金融支援機構によると、2020年2月から2021年12月の間でコールセンターに寄せられたコロナ関連の相談件数は6,000件を超えており、その半数が返済相談であることがわかっています。

さらに同機関が公表したデータによると、新型コロナウイルス感染症にともなう住宅ローン返済方法の変更件数は2022年度までに18,000件を超えています

コロナ禍が落ち着いた今は、政府の支援策や金融機関の対応によってリスク管理債権の数値が減少傾向にあるものの、円安による物価高などの影響で不況が続いているのは事実です。

コロナ禍や不況により、契約時の条件で住宅ローンの返済が難しくなった人は増え続けていると言えるでしょう。

住宅ローンを払えない理由は?

住宅ローンを払えない理由として挙げられるのは、以下3つの要素です。

  • 無理な返済計画だった
  • 収入が減少した
  • 支出の増加

では、住宅ローンを払えない理由について具体的に見ていきましょう。

返済計画がなく無理して住宅ローンを組んでしまった

手取り収入に対して住宅ローンの設定金額が大きかったり、定年後も払い続ける返済計画を立てたりすると、収入や支出が変動した際に返済が難しくなります

住宅ローンの負担率は手取り収入で計算するのが一般的です。具体的には、手取り収入に対して20%以内が住宅ローンの負担率として理想だと言われています。

つまり、住宅ローンの負担率が手取り収入の20%を超えてしまうと返済が難しくなる可能性が高いと言えるでしょう。

また、税金が引かれる前の額面収入で返済計画を立ててしまう、残業代やボーナス、定年後などの不確定要素が残る収入を住宅ローン負担率に加えてしまうのも、返済計画に無理が生じる要因となります。

収入が減少した

病気や入院、リストラなどの突発的なアクシデントにより、収入が減って返済計画が崩れることもあります

そもそも住宅ローンの返済額は、安定的な収入が得られることを前提に設定されるため、失業や減給などのリスクを加味していません。ボーナスや残業代、退職金などの不確定要素を返済のあてにするのもリスクが高いです。

もちろん突発的に収入が減るのは誰にでも起こり得る話なので、医療保険や就業不能補償保険、個人年金保険に加入するなどの備えが必要になるでしょう。

支出が増えた

計画を立てて住宅ローンを組んでも、予想以上に支出が増えて家計が圧迫するケースも珍しくありません

たとえば、突然の病気や怪我による治療費、高齢になった親の介護費、学費が高い学校への進学、家族が増えるなどです。計画的に貯金をしていても、急な支出で住宅ローンの返済が滞るのは珍しくありません。

住宅ローンを払えないとどうなる?

住宅ローンが払えないと最終的に競売にかけられることとなりますが、それまでの間には以下のような段階があります。

  • 督促状や催告書での催促
  • 一括返済を求められる
  • 自宅を差し押さえられる
  • 自宅が競売にかけられる

住宅ローンの支払いを1ヶ月滞納すると督促状が届くようになり、2〜3ヶ月ほどで催告書の送付や電話での催促に切り替わります。

5〜6ヶ月ほど滞納すれば住宅ローンの分割返済権利が失われ、滞納分の一括返済を求められます。この段階で保証会社による代位弁済が行われるため、競売にかける手続きが始まるのです。

一時的に住宅ローンの返済が滞っても、できるだけ早く返済すれば問題にはなりませんが、電話連絡や督促状、催告書を無視すれば状況は悪化するばかりです。払えないとわかった時点で金融機関に申し出ることが重要と言えます。

ではここで、住宅ローンを滞納してから差し押さえられるまでの流れについてくわしく解説します。

督促状が届いたあと一括返済を求められる

滞納から2〜3ヶ月で金融機関から督促状や催告状が届いたり、電話連絡が来たりします。返済が遅れている理由や返済計画について、誠実に伝えれば金融機関との信頼関係が崩れることはありません

金融機関によって異なるものの、5〜6ヶ月ほど滞納すると「期限の利益の喪失予告通知(最終督促)」が届くようになります。これは、返済しないままだと保証会社が金融機関に住宅ローンを全額立て替えて返済する(代位弁済)という予告です。

6ヶ月程度の滞納で期限の利益の喪失になれば、住宅ローンを分割して返済する権利がなくなるため、住宅ローン残債の一括返済を求められます。

自宅を差し押さえられる

保証会社による代位弁済が行われると、金融会社に代わって保証会社から借入金の返済を求められます。このタイミングで自宅を競売にかける手続きが進み、保証会社が裁判所に競売を申し立てて競売開始が決定すると「差押え通知書」が届くようになります。

競売開始が決定してもすぐに立ち退く必要はありませんが、インターネット上に住所や写真などの競売情報が公開され、競売が完了すると強制的に立ち退きを要求されます

住宅ローンを払えないときの対処法

住宅ローンを払えない場合は、以下の対処法を検討しましょう。

  • 家計の見直し
  • 金融機関への相談
  • 住宅ローンの借り換え
  • 保険適用の確認
  • 個人再生

ではここで、それぞれの対処法や解決方法のポイントについて解説します。

もう一度家計を見直してみる

生活費や教育費の出費により住宅ローンが払えない場合は、家計の見直しで改善できる可能性があります。

毎月の出費を節約する、車や資産の一部を手放す、保険の解約やプラン変更など、すぐにでも着手できる項目はあるはずです。

銀行など金融機関に相談

銀行などの金融機関に、条件変更の相談をする方法もあります。具体的には、一時的に返済期限を延長して毎月の返済額を減らす交渉です。

条件変更なら滞納にはならないため、きちんとした理由を説明することで了承してもらえる可能性があります。しかし、条件変更が認められる期間は条件によって異なるため、あくまで一時的な措置であることを理解しましょう。

住宅ローンの借り換えをする

住宅ローンの借り換えをすることで、金利が低くなり毎月の返済額を減らすことができます。今は金融機関の間で住宅ローンの低金利合戦が常態化しているので、条件の良い銀行を見つけることができるでしょう。

ただし、返済額は低くなっても借り換え自体に手数料や保証料などのコストが発生します。借り換えには40〜50万円程度のコストがかかることを理解しましょう。

療養で払えないときは保険を適用できるか確認する

もしも病気やケガによる減収で住宅ローンが払えなくなった場合は、適用されるような任意の保険に加入していないかチェックしておきましょう

住宅ローンに関係するおもな民間の保険は以下のとおりです。

  • 収入保障保険
  • 就業不能保険
  • 債務返済支援保険

もしもこれらの民間の保険に加入している場合は、保証対象になっているか内容を確認するとよいでしょう。

個人再生する

住宅ローン以外に借金がある場合は、個人再生を利用することで住宅ローン以外の債務が大幅に減額されます

個人再生を使っても住宅ローンが圧縮されることはありませんが、今の家に住み続けながら支出を抑えることができます。とはいえ、個人再生により信用情報に傷がつくデメリットもあるので注意しましょう。

延滞などすでに住宅ローンを払えないときは売ることを検討しよう

今後住宅ローンを払える見込みがない場合、家を手放すことを検討しなくてはなりません。住まいの売却には、一般売却と任意売却の2種類があります。

一般売却

債権者(金融機関など)の合意を得ることなく住まいを売却できる方法です。ただし、信用情報機関に情報登録されていないことが前提となります。

売却価格によっては住宅ローンの残債を一括返済できる可能性が高いです。とはいえ売却には時間がかかるので、ローンの返済が苦しいと感じた時点ですぐに行動に起こすことがポイントと言えます。

任意売却

任意売却は債務者が債権者の同意を得て住まいを売却し、その売却価格でローンの残債を返済する方法です。市場価格に近い金額で売却できるため、残債を大幅に圧縮することができます。

ただし住宅ローンの残債が売却価格を上回った場合、返済義務が残るので注意しましょう。

リースバックもおすすめ

手放した後もそのまま家に住み続けたいなら、リースバックという方法もおすすめです。これはリースバックに対応した不動産会社に住まいを売却し、その不動産会社に家賃を払うことで住み続けられる方法です。

一般売却、任意売却どちらでも可能ですが、売却価格が安くなることから任意売却とセットで利用されるのが一般的です。リースバック会社を選び、債権者の合意が得られれば任意売却+リースバックで住宅ローンを一括返済します。

住宅ローンを払えないときは放置やキャッシングは危険

住宅ローンを払えないからと言って、放置したりキャッシングをしたり、夜逃げをしたりするのはリスクが高いです。ここで、住宅ローンを払えないときにやってはいけない注意点をまとめました。

何もせずに放置する

住宅ローンを払わずに放置すると、次のようなリスクがあります。

  • 信用情報機関へ延滞情報が登録される
  • 遅延損害金が発生する
  • 最終的に差し押さえや競売にかけられる

金融機関へ相談したり、督促に応じなかったりすると信頼関係が崩れ、最終的には支払いの意思がないとみなされます。払えないとわかった時点で金融機関(債権者)に連絡・相談しましょう。

キャッシングなど新たに借入れをする

利息を圧縮する借り換え(ローンの借換え)なら良いですが、元本が追加されるような新たな借入は避けましょう。生活苦が重なるだけでなく、破産のリスクも高まります。

夜逃げをする

夜逃げをしても競売が実行され、残債の返済を求められます。つまり、夜逃げをしたところで借金が残るケースがほとんどです。

夜逃げにより多くの残債を残すよりは、任意売却で残債を圧縮する、また自己破産をして借金を免責するほうが問題を引きずらずに済みます。

夜逃げの前に何かしらの選択肢がないか、弁護士や消費者団体などの専門家に相談しましょう。

住宅ローンが払えないときも冷静に対処すれば最悪の事態は防げる

住宅ローンが払えない状態でも、すぐに住まいを差し押さえられるわけではありません。

金融機関に相談する、ローンの借り換えをするなどの対処法はあるので、焦らず今後について検討しましょう。またどの対処法においても、早めに行動することが重要です。

少しでも支払いに不安を感じたら、金融機関や専門家に相談しましょう。

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