その分類と絶対に頼んではいけない「コンサルタント」とは
「不動産コンサルタント」って何?宅地建物取引士と何が違うの?
そもそも「不動産コンサルタント」とはどのような仕事なのでしょうか?
不動産に関する資格の中で、最も有名で、資格者数の多い宅地建物取引士と比較してご説明いたします。
宅地建物取引士の業務
不動産は、工業製品などと違って、二つと同じものが存在しません。
また、一般に生涯のうちでそれほど数多く取引を経験できるものでもありません。
なので、一般消費者の方にとって、不動産取引というのはとても分かりにくものです。
一方で、その取引に失敗すると人生に大きな影響を及ぼしかねないものなので、取引は慎重にしなければなりません。
一般消費者の方が安心して取引できるように、宅地建物取引士という専門の資格が設けられているのです。
取引対象の不動産に関する重要事項の説明、その重要事項説明書・契約書等への記名は、宅地建物取引士だけが行うことができることになっています。
ただ、宅地建物取引士の業務は、当該取引が安全に行われるようにすることであり、その取引自体をするべきかどうか、についてアドバイスすることまでは求められていません。
「この家を買いたい」というご要望に対して、それを叶えることが仕事であるということになります。
不動産コンサルタントの業務
上記のように、不動産の取引に失敗すると、人生に大きな影響を及ぼしかねません。
ただ、宅地建物取引士という制度があるので、実のところ不動産の売買手続自体で問題が起きることはあまりありません。
問題が生じるのは、その前の意思決定の段階で間違った選択をしてしまうことによります。
例えば、売るべきでは無かった不動産を売ってしまったり、買うべきでは無かった不動産を買ってしまったり、といったことにより、その売主さん・買主さんの人生が歪んでしまうのです。
その意思決定の段階で、アドバイスすることが不動産コンサルタントの仕事です。
具体的には、以下のような内容のアドバイスをすることで、こんがらがった状況・モヤモヤした状況から脱却することができるようにします。
・アパート建築プランについてのセカンドオピニオン
・土地、建物の活用
・空室対策
・相続対策
・借地権の整理
・複数権利者の権利調整
・不動産の購入、売却をした場合のシミュレーション
・不動産の市場調査
全ての範囲を完全にカバーしている不動産コンサルタントというのはいないので、そのコンサルタントがどのようなネットワークを持っているか、も大事になってきます。
このような「不動産コンサルタント」には頼んではいけない
「不動産コンサルタント」を名乗るために特に資格は必要ありません。
ただ、このような「不動産コンサルタント」には頼んではいけません。
「仕方なく不動産コンサルタント」
「不動産コンサルタント」を名乗る方の中には、宅地建物取引士資格が無いから仕方なくそう名乗っている方もいます。
「きちんと働いてくれれば、資格なんてどうだって良い」
と思っている方もいらっしゃると思います。
確かに、不動産会社の社員でまだ不動産歴の短い方だったり、資格を取らなくてもあまり不都合の無い不動産の仕入担当の方などは宅建の資格が無くても不思議ではありません。
ただ、ある程度不動産業歴があって、真面目に「不動産コンサルタント」を独立してやっていこうというのならば、不動産業の基本的資格で、難関資格ではない宅地建物取引士資格は取得しているはずです。
ちょっと偏見が入っているかもしれませんが、あえて、そのような「仕方なく不動産コンサルタント」にご相談する意味はないと思います。
普通の「不動産コンサルタント」
前述の通り、「不動産コンサルタント」を名乗るために資格は必要ありません。
ただ、不動産コンサルタントを名乗る方は、公益財団法人 不動産流通推進センター認定資格の「不動産コンサルティングマスター」という資格を取得していることが多いです。宅地建物取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を取得していることが受験資格になっているので、この資格を持っている方は真面目に不動産コンサルタントを業として営もうとしている方であると考えて良いと思います。
もちろん、「不動産コンサルティングマスター」以外にも、不動産鑑定士、建築士、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、土地家屋調査士、不動産証券化マスター、CPMなど不動産関連の資格はたくさんありますし、そもそも資格が全てではないので、「不動産コンサルティングマスター」を持っていなければダメ、という訳ではありません。
ただ、やはり「不動産コンサルタント」を名乗るためには、宅地建物取引士資格だけは必須であると思います。
報酬体系について
宅地建物取引士資格を持っている普通の「不動産コンサルタント」の中でも、料金体系についてはいくつかに分類することができます。
①コンサル料は仲介手数料に含む
「不動産コンサルタント」の中には、不動産に関連するアドバイスについては特に費用は受け取らずに、賃貸・売買の仲介が発生したときに通常の仲介手数料をいただく形態で運営している方がいます。「不動産コンサルタント」の多くはこれに属します。
特に不動産コンサルティング契約は締結せず、不動産賃貸・売買の媒介契約だけを結ぶことが多いようです。
仲介手数料にコンサル料を含めることで、仲介手数料の中身を充実させよう、という考え方です。
お客様にとっては、普通に不動産業者に仲介を依頼するのと費用負担は変わらないことがメリットになります。
デメリットとしては、コンサルの内容が単に仲介に導くためのものである可能性があります。中立な立場でコンサルしてくれているのか怪しい場合があるので注意しなければなりません。
②純粋にコンサルティング料が発生する
コンサルティングそのものを商品とする不動産コンサルの方もいらっしゃいます。
毎月定額でコンサルティング料が発生する場合、相談時間に応じてコンサルティング料が発生する場合などがあります。
これら場合、純粋にコンサルティング能力を商品にしているので、コンサルティングの力量が必要になります。
不動産コンサルティング契約を締結することになります。
この形態の場合、不動産コンサルタントには無理に仲介案件を生じさせる動機づけが生じません。お客様にとって、中立の立場からのアドバイスを期待できることが大きなメリットです。
一方で、何も不動産が動かない状況でも継続的にそれなりの費用が発生することがデメリットになります。
③ハイブリッド型
純粋なコンサルティング料と、仲介業務成約時の仲介手数料の両方が発生するパターンです。
不動産コンサルタントとしては経営の安定と収益力の両方を享受することができます。
お客様にとっては、①の場合に比べると中立的なアドバイスを受けられる可能性があること、がメリットになります。
ただ、仲介手数料も発生させる以上、どうしても仲介業務を発生させるような方向にコンサルティングが歪んでしまう恐れがあるので、気をつける必要はあります。
鎌倉鑑定のコンサルティング
では、鎌倉鑑定がどのようなスタンスで「不動産コンサルタント」を名乗っているかをご説明します。
3人だけの小さい会社ですが全員宅地建物取引士の資格を持っていることに加え、それぞれ土地家屋調査士、不動産鑑定士、行政書士の資格+αを保有しています。
不動産業の経験も20年以上あり、上記②普通の「不動産コンサルタント」に該当します。
料金体系は、①コンサルティング料を仲介手数料に含むことにしています。
(特別な作業をした場合には実費をいただきますが、事前にお見積もりをお出ししています)
もちろん、この形態の弱点も分かっているので、仲介のことは考えずにフラットなアドバイスをさせていただいているつもりです。(長いお付き合いをさせていただければ、いずれ何か良いことがあるとはず、という下心もあります)
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